授賞式の後、青森へ。翌日、友人を案内して「ねぶたの家 ワ・ラッセ」の見学。
青森市と運営者の積極的な活動が身を結びつつあり、ねぶた祭の保存・伝承を軸に、市民や観光客が自然と集い、交流する場となって来ているように感じます。運営者の方も言われていましたが、建物が出来る前に比べて、街で人の姿を見ることが多くなりましたし、駅前に賑わいが生まれています(東京でいう賑わいとはちょっと違いますが)。今朝は、地元の小中学校音楽部によるコンサートが西の広場で行われ、多くの観客でいっぱいになっていました。
もちろんこうした賑わいは、ねぶた自体の魅力が大きいのですが、ねぶたの展示スペースをパブリックスペースに開いたことがその一因になっているのではないかと勝手に思っています。ねぶたの展示スペースをブラックボックス化してはいけないと思うようになったきっかけは、同じような施設をいくつか見学をした際に、「市民にとって大事なものが、市民の手から離れている」「ねぶたを市民の手の中に置いておきたい」と感じたことからでした。ただ、暗闇の中でこそ映える「ねぶた」を誰でも気軽に入ってくることができるパブリックスペース、しかもできるだけ外部空間と繋がってる場に開いて、どこにいてもねぶたを感じてもらうことのできるようにすることは非常に矛盾を抱えた思いでもあったわけです。ピッチの細かいスチール製の竪格子や建物の周囲を取り巻く赤茶色の鋼板スクリーンは、開くことによって生じる光や視線の問題に対する回答だったのですが、有料ゾーンがパブリックゾーン(無料ゾーン)から覗けてしまうこと対しては、開館するまで心配の種となりました。青森市の了解をとったはいいけれども本当に理解してくれているか?建物が出来上がるにつれて、びっくりして変更を求められるのではないか?運営者から収益面で拒否反応がでるのではないか?ねぶた師の方々から外光が入ることを問題視されるのではないか?などなど。
結局、開館してからも、ねぶたミュージアムへのアプローチ途中にねぶたが格子越しに見えて覗き込んだり、跳人体験ショーが始まると館内に太鼓や鐘、笛の音が響きわたると、お祭りに行くように皆がいそいそとねぶたホールへと急いだりと、それが当然のことのように受け止められていて、そういった姿を見ると嬉しくなってしまいます。今日は、その仕掛けに自分自身がひっかかってしまい、太鼓の音と同時に、ねぶたミュージアムを素通りして、ねぶたホールへと急いでしまいました。
1階の交流学習室とねぶたホールが連続して使えるように可動間仕切りになっていたり、2階のイベントホールでも、角部分が開閉して視覚的にねぶたホールと繋がったりと、まだ十分に生かしきれていない仕掛けもあります。うまく活用して、ねぶたの魅力を引き出してくれることを期待しています。
それにしても跳人体験ショーは迫力がありました。8月に再訪できるといいのですが。